株でサラリーマン卒業

株価の動きに惑わされない投資法とは

リターン

リスク計測の罠 投資家は何を信じるべきか

リスクってなんだろうと、ずっと考えていたことの一部を今日は書き残しておこうと思います。

  • リスクの定義

投資の世界で言うところのリスクとは、リターンの不確実性のことです。これは「過去の」値動きから求めた標準偏差σで表されます。 

リターンを%で表す場合、リターンの標準偏差σの単位も%となります。期待リターン5%、リスクσ=10%の意味は、リターンが+15%~ー5%の範囲に収まる確率が68.3%であるということです。

なお、このようにリターン、リスクを取り扱う場合、リターンが正規分布に従うという前提をおいていることになります。

投資の世界でのリスクの定義については、多くのサイトや書籍で説明されているので、よく読んで正しい理解をすることが必要だと思います。言葉の定義をしっかり理解せず、間違った理論を信じたり、無駄な言い争いをしたりしていては時間がもったいないと思います。

私は理系出身で今もエンジニアとしてサラリーマンをやっているので、大学レベルの数学は日常的に使っています。だから標準偏差とか正規分布とかの用語にも抵抗感はなく、投資をはじめて間もないころはふーんと聞き流していましたが、最近はよく考えるとおかしいなと思いはじめています。 


  • 正規分布に従うというのは幻想にすぎない

まず、金融商品のリターンの分布が、正規分布に従うというのは近似にすぎません。正規分布に従うことは100%有り得ません。なぜなら、リターンには下限値があるからです。株価や国債価格がマイナスになることはありえるでしょうか。正規分布に従うということは、価格がマイナスになるということがあると言っていることと同じです。

Standard_deviation_diagram
標準正規分布のグラフ (Wikipediaより)


ただ、短期間で見れば、正規分布に従っているようにも見えることは事実なので、実用上は問題ないという考え方もあろうと思います。問題なのは、長い運用期間を想定している場合です。(特に長期投資でリスクが減らせる、と間違った思い込みをしているような感覚に頼って数字をみる人ほど、罠にハマる気がします。)


  • 期待値を正しく理解しているか

これは一例ですが、個人投資家はインデックス投資をしていれば、勝ち組にはなれないにしても、負けもしないとよく言われます。これは本当でしょうか。事実、ほとんどの年でインデックスに負けるアクティブファンドの方が多数派です。例えば、過去10年間のデータによれば、60%のアクティブファンドがインデックスに負けました、など。

そうかじゃあインデックスファンドに投資したほうが、どう考えても有利じゃないか!と思ったあなたは、確率と期待値を正しく理解できていない可能性があります。


期待値は、確率×実現値の足し算です。


勝つ確率が高くても勝ったときの儲けが少なければあまり意味がありません。勝つ回数だけでなく、勝ったときにどのくらい儲かるかをあわせて考える必要があります。

ただ、人間が合理的であれば、どんなものに投資しようと同じはずです。期待リターンが同じになるように価格が決まると考えられるからです。勝つ確率が低いものには相応の儲けがあって然るべき、逆に安全なものには、低いリターンしか期待できない、というように。(このときの価格を数学的にはオッズと言います。たぶん。)



現実的には、期待リターンを正確に予想することは不可能ですし、このブログでもたびたび書いているように、人間は合理的ではなく、感情的に行動してしまいますので、投資先によって期待リターンはまちまちです。歴史的にみて株は、債券よりもリターンがよかったのですが、これは、株式投資家は、リスクを受け入れる対価を債券投資家から受け取り、債券投資家は、リスクから逃れる安心料を株式投資家に払っていると私は理解しています。


ここに罠があると思います。人間の心理による歪んだ価格決定によって、短期的に勝率が高いものほど、長期的には損する構図になっているのがお分かりでしょうか。要は、投資において、滅多なことでは負けない勝負を繰り返すことは、長期的には危険だということです。


多くの人がリスクが低いと考えている投資先(つまりこれまでの歴史上は、リスクが低かったもの)ほど、そしてその投資先がいままで安全だった期間が長ければ長いほど、危険度は増していくと思われます。いわば、安心料がバブルの状態です。これは、投資家がリスクを過度に嫌い、群がることにより、勝ったときの一人当たりの利益、つまり利回りが合理的水準より低くなってしまった結果です。次のように表現できるでしょう。

(投資家が安全を求めリスクを過度に嫌った結果)
A. 滅多に負けない勝負
勝った場合の利益↓ = 勝つ確率↑ × 勝ったときの儲け↓↓ 
B.滅多に勝てない勝負
勝った場合の利益↑ = 勝つ確率↓ × 勝ったときの儲け↑↑ 

(ここでいう勝負とは、ある一種類の証券を勝ってから売るまでの損得のこととします)

また、株にしろ債券にしろ、暴落時に、売りが売りを呼ぶ状態になって歯止めが効かなくなるのは、過去何度も繰り返されています。なぜ暴落が起きるかといえば、投資家が強欲だからです。他人より儲けようとするために、割高だとわかっていてもギリギリまで売らなかった結果です。ずっと安定して右肩あがりの状態が長いこと続いている場合、つまり滅多なことでは負けない勝負ばかりになっているときは、次のようなことが起きます。

(投資家が強欲で他人を出し抜こうとした結果)
A. 滅多に負けない勝負
負けた場合の損失↑ = 負ける確率↓ × 負けたときの損失↑↑
B.滅多に勝てない勝負
負けた場合の損失↓ = 負ける確率↑ × 負けたときの損失↓↓


勝つ場合も負ける場合も B.滅多に勝てない勝負 が有利です。

だから、ボロ株や、地味な事業の銘柄や、変な名前の銘柄などなど、一見あまり儲かりそうにないものに投資し、滅多に勝てない勝負に挑むのは、実は割がいい投資法だと考えられます。(私の場合は、信用取引だと破滅の恐れがあるので、現物のみにしています。)


  • 本当にそれって安全資産なの? 

すでに述べたような「罠」の存在を考えると、“年齢とともに、安全資産の割合を増やしていくべきです”というもっともらしいアドバイスには、危険な香りがします。リスクが低いと見なされているものへの投資は、人間が合理的でないために期待値の考えかたからするとそもそも不利です。その上、正規分布を仮定したことにより無視されている危険性が実は存在するということであれば、あまりに割にあわないなと思います。

将来、リタイア後に運用資産が吹っ飛んで、路頭にまよう高齢者だらけになる日が来るのではと危惧しています。

だからリスク計測は標準偏差云々といった話は役にたたないだけでなく、有害ですらあると考えています。


  • 予想される反論

屁理屈だ。未来のことはわからないのは認めるが、統計が一番信頼できるからそれに従うだけで、ほかに確実な方法がない。など言われそうです。

私には、その統計が信頼できません。統計学はれっきとした科学ですが、中途半端に投資の世界に持ち込んで、科学っぽく使われているだけではないかと疑ってしまいます。だいたい、再現性がなければそれは科学とは言えません。りんごが地球に向かって落ちるのは、何回も再現できます。それ以外の条件をそろえることができるからです。

でも、株式のリスクが過去10年間で5%だから、次の10年間でも5%と考えられますなどということは、エセ科学です。過去10年と今後10年は株式投資以外の条件があまりにも違いすぎます。


  • 結論 何を信じるべきか

金融商品のリスク計測なんて数学を無理矢理取り入れただけのエセ科学で、信用できないと思っています。では、何を信じればいいのかというと、上で述べた「罠」を生み出しでいる人間の欲だと思います。これだけは昔から未来永劫にわたって変わらない、最も信用できることではないでしょうか?

だから、投資家が一番勉強すべきことは投資家の心理だと思っています。

そして、過去の値動きなどにとらわれず、よく考えたうえで、いまは債券よりも現金よりも株が安全と判断しており、株にしか投資していません。
 

個人投資家になるには

  1. サラリーマン 株
  2. 個人投資家になるには
  3. 投資家になるには 
何の順位かと言いますと、このブログの今月の検索フレーズ上位3つです。先月も同様でした。1位は納得ですが、2位の「個人投資家になるには」は意外でした。個人投資家になるにはという記事を書いたことはないからです。せっかくなのでこのタイトルで書いてみました。


株式投資のブログですので、ここでは投資家とは株式投資家のこととします。個人投資家になるには、特別な才能とか手続きとかは要りません。以下の手順で、口座を開設して、株を買うだけであなたは個人投資家です。


  • 証券口座を選ぶ

手数料が安いネット証券会社をオススメします。私の場合は売買の頻度が少ないので、あまりこだわりはなく、最大手だからという理由でSBI証券を使っています。(いまはほとんど使っていませんが、他の証券会社にも口座を持っています。) やさしい株の始め方さんのネット証券会社の比較がわかりやすくて参考になります。


  • 株を買う 

口座を開いたら、買いたい値段で株を買うだけです。

みんなが熱狂しているときに買わないこと、逆にみんなが失望しているときに売ってしまわないことを心がけましょう。市場の雰囲気は投資家のブログやツイッター、ネット上の掲示板等があることで、昔に比べるとずいぶん感じ取りやすくなったのではないでしょうか。(ネットが普及する前に株をやっていなかったのでわかりませんが)

投資家ではない人が、ニュースや知人の話から市場の雰囲気について知るのは、バブルのときか、大暴落のときかです。そして残念なことに、多くの人がバブルのときに株を買い始め、大暴落のときに売ることになります!大暴落というニュースを見て、初めて株式投資をやってみようと感じたならば、なかなかのセンスの持ち主だと思いますが、そんな人は少数派です。

そして、大暴落の度に多くの人が市場から去って行くわけですが、そのとき生き残っている投資家は勝ち組です。


  • どうすれば損しないか考える

どんなにすごい投資家でも失敗はします。ある株の売買で失敗しても、他の株の売買でそれ以上に儲かればいいのです。損しないために一番大切なことは、ずっと投資家であり続けることです。信用取引をしなければ、最悪つぎ込んだお金を失うだけで、借金を抱えることにはならないので、ずっと投資家であり続けることはそんなに難しいことではありません。

リスクが比較的大きい(と思われている)株式投資は、他の有価証券と比べて高いリターンが期待できます。人はリスクを嫌うので、収益の期待値から合理的に考えられる価格より割安になってしまっているということです。損したくなければ恐れずにリスクをとりましょう。

ものすごく運がよければ、まぐれで楽して儲かるということはあり得ますし、ものすごく運が悪ければどんなに凄腕の投資家でも損します。だからこそ投資は面白いと私は思っているわけですが、少しでも勝つ確率を上げたいのであれば、本や個人投資家さんたちのブログで気が済むまで勉強しましょう。


    • とにかくやってみる

    とにかく買ってみてください。無くなってもいいと思える金額の範囲内で。私は独身で20代で健康なので、預貯金はほとんどせず、余ったお金はほとんど株式投資につぎ込んでいます。どうせしばらく使うことのないお金ですから、一時的に多少減ろうが関係ありません。自分一人で働いてお金を稼ぐより、株を買った会社の従業員にも自分のために働いてもらうほうがいいと思いませんか?




    書籍紹介 東大卒医師が教える科学的「株」投資術

    東大卒医師が教える科学的「株」投資術を紹介したいと思います。これは久々となった書籍紹介の第五回目です。
    "機械的に"投資の意思決定をすることで、市場平均より大きなリターンを得られる可能性が高いことを丁寧に説明した、数少ない本だと思います。


    • 概要
    とても素晴らしい良書ですが、絶版のため入手困難になりつつあり、中古価格は定価より高くなっているようです。著者のKAPPA氏は現在はブログ『医学と投資についての随想』を執筆しておられます。


    KAPPA氏は、テクニカル分析を否定し、ファンダメンタル分析も報われない努力だと言います。これらは以前私が紹介した、敗者のゲームまぐれを読んでも納得できることだと思います。

    ではパッシブ運用をすべきという話なのかというとそうではなく、KAPPA氏はパッシブ運用については、負けないゲームではあるが決して勝者にはなれないと主張しています。明らかに市場は効率的ではなく、アノマリーが存在するためインデックスファンドやETFに投資する気になれないとのこと。著者が提唱する方法で市場に勝てるというのですが、その方法がEBI(Evidence-based Investment )です。


    EBIとは具体的には低PER戦略、低PBR戦略など有名なバリュー系ファクターによる投資法や、財務、収益性ファクターやそれら複数のファクターを組み合わせる戦略などです。多くの投資本で言及されていることばかりではありますが、比較的薄い一冊の本に、根拠となる文献とともに図や表で分かりやすくまとまっているという点が非常に貴重だと思います。


    • 本当に有効な投資法なのか?

    過去の統計的事実から未来を予測するのは、いつも正しいとは言い切れません。しかし、この本で紹介されているエビデンスは、人間の本質に深く関わっていることが示唆されていますので、未来においても有効である可能性が非常に高いと思われます。


    この本を読むと、投資家が人間の心理について学ぶことの大切さを痛感します。EBIの手法を信じて投資するのであれば、他人の心理など考えず、もちろん自分の心理も無視して機械的に行動することになりますから、心理について学ぶ必要はないのかも知れませんが…。とはいえ、エビデンス自体が、人間が陥りやすい行動パターンから生まれているアノマリーですから、間接的に心理学の成果を利用していることになります。


    この本で紹介されているようなアノマリーは昔から指摘されてきたものも多くあるにも関わらず、今日でも有効のようです。アノマリーというものは、それが知れ渡ると効果がなくなるはずです。それは、みんながその手法を使いだすと、当該銘柄の株価が騰がってしまいリターンが打ち消されるからですが、こういう本が絶版になるような世の中ですから、安心してエビデンスとして使って大丈夫だと思います。

    だから、今のところは、エビデンスに基づいて投資すれば、だれでも簡単に超過リターンを上げられると言えそうです。実際に、KAPPA氏は次のように書いています。

    このことは、他の機械的銘柄選択法すべてに当てはまるでしょう。多くの投資家が1年以上の単位で投資を考えないからこそ、機械的銘柄選択法は今後も有効であり続ける可能性がきわめて高いのです。 


    • お気に入りの部分

    私がこの本で気に入っている部分は第五章業績予想のエビデンスです。その中に、ファンダメンタル分析はプロの力を利用する、とあります。これは、業績予想の数字を鵜呑みにするのではなく、投資家の反応を予想するというものです。PERや時価総額で銘柄を分類し、業績予想の修正があったときの株価の反応について示したグラフは必見です。低PERの銘柄は業績予想が修正されても株価が反応しにくい、というのは実感として持っていました。それはどうやら本当のようです。上方修正であってもすぐには株価が騰がってくれないということですが、かなり長期にわたってプラスの超過利益を出すという傾向が示されています。


    低PER銘柄は、業績予想修正があっても株価の反応が鈍い。ということは下方修正が発表されても逃げるのが簡単です。また上方修正で株価に反応がなくても、サラリーマン投資家なら、気長にひたすら待つ戦法が使えます。(これは短期で結果を求められる機関投資家には難しい)
    低PER戦略というものは、まさにサラリーマンに向いた投資法と言えるでしょう。


    ある企業が素晴らしい業績をあげるかどうかを分析する力が高いだけでは、投資で大成功するのは難しいのではないでしょうか。本当に重要なのは、実力に対してどの程度評価されているかを見抜く力だと私は思っています。また、市場から無視された銘柄を中心に狙っていくのが、労力の割にリターンが大きい方法だとも思っています。これらの考え方はこの第5章を読んでよりはっきりしたものになりました。


    • 所感
    すでに述べたように、この本は非常に素晴らしい本であることは疑いの余地がありません。あえて批判的な意見を言うとすれば、売却のタイミングに関しての記述が曖昧な印象を受けました。最後は自分で考えるべきということでしょうか。また、必ずしも割高ではないが、ポジションが大きくなりすぎたとき売却を検討するとありますが、これには疑問符がつきます。分散投資を勧めている文章において、無理にそれほど割安でない銘柄を組み入れるのは避けるべきで、手段と目的を混同しないようにしましょうと書いてあるので、少し矛盾があるとも言えなくはないと思います。


    最近書店では投資本コーナーが拡大傾向にありますが、近所のブックオフでは、投資本のコーナーが縮小していることに気づきました。投資本の需要が拡大し、中古本は供給不足にあるようです。個人投資家の保有する投資本数が急増している証拠ではないでしょうか。私も負けじとこれからもたくさん本を読みたいと思います。



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